ウレアプラズマ感染症とは
ウレアプラズマは泌尿器や性器の粘膜にすみつく細菌で、性行為による直接の接触で感染します。マイコプラズマと同じ仲間(モリキューテス)に含まれ、尿道や婦人科・産科の領域で感染症を起こすことが知られています。※5
国内のガイドラインでも、淋菌とクラミジアのどちらも検出されない尿道炎(非クラミジア性非淋菌性尿道炎)の原因の候補に挙げられており、症状のある尿道炎からこの菌だけが見つかる場合があります。※4
厚生労働省は、性感染症について、早期発見と早期治療によって治癒や重症化の防止、感染の拡大防止ができる疾患であり、予防には正しい知識とそれに基づく注意深い行動が重要だとしています。※1
どのようにうつるのか
ウレアプラズマは、性行為で粘膜と粘膜が直接触れ合うことによってうつります。※5
性感染症全般について厚生労働省は、口から性器へ、性器から口へ、の二通りの感染がありうると説明しています。のどに病原体が感染しても症状が出ないことが普通で、気づかないままオーラルセックスをして相手の性器にうつしてしまうことがあるとされています。※2
オーラルセックスのときにもコンドームを使うと、感染のリスクを下げることができます。※2
ただしコンドームは、性器や口の粘膜が直接触れ合うのを防ぐもので、それだけでは防ぎきれない性感染症もあると注意が促されています。※1
見つかっても治療が必要とは限りません
この尿道炎ではっきり病原体として確立しているのはマイコプラズマ・ジェニタリウムとトリコモナスで、ウレアプラズマの病原性については十分な根拠が示されているとは言えないとされています。※4
子宮頸管炎についても、ウレアプラズマ・パルバムやウレアプラズマ・ウレアリティカムが原因になるという明確な根拠は示されていません。※6
性行為の経験がある女性では、ウレアプラズマやマイコプラズマが最大で80%ほどの方から検出されることがありますが、検出されたからといって必ずしも感染症を起こしているとは限りません。※5
ただし、尿道から見つかる菌の中には、女性では細菌性腟症の原因となって治療が必要になるものもあります。※4
女性にあらわれる症状
感染した女性の多くは無症状ですが、骨盤内炎症性疾患(PID)に進むと骨盤の痛みが出ることがあります。男性では、非淋菌性尿道炎として、排尿時の痛みや尿意切迫感、尿道からの分泌物がみられることがあります。※5
厚生労働省は、女性は解剖学的に感染の危険性が高く、感染しても無症状の場合が多い一方で、感染すると慢性的な骨盤内炎症性疾患の原因となりやすいという特性があるとしています。性感染症は症状が軽くて治療を怠りやすく、その結果として不妊などの後遺障害が生じることが問題点として指摘されています。※1
妊娠・出産への影響について
妊娠との関わりでは、流早産となった胎盤の4割からウレアプラズマ属の細菌が分離されたという国内の報告があります。妊婦に使える抗菌薬は限られるため、ウレアプラズマなどによる子宮内感染を抑えることは難しいと指摘されています。※3
海外でも、ウレアプラズマ・パルバムの感染が早産や低出生体重、早産で生まれた赤ちゃんの慢性の肺の病気のリスクを高めることとの関連が報告されています。※5
厚生労働省も、生殖年齢にある女性が性感染症にかかった場合は、母子感染による次の世代への影響があり得ることを問題点として挙げています。※1
検査でわかることと調べ方
診断を確かめる検査には、培養、血清(抗体)検査、PCR検査(核酸増幅法)があります。PCR検査では腟や尿道のぬぐい液を調べ、特異度が高い一方で、費用と結果が出るまでの時間が難点だとされています。※5
のどの感染が心配な場合は耳鼻咽喉科か性感染症を専門とする医療機関が、性器の感染が心配な場合や性器のまわりに症状がある場合は泌尿器科や産婦人科が対応すると、厚生労働省は案内しています。※2
治療について
ウレアプラズマ・ウレアリティカムは、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の順に感受性が高く、現時点ではいずれの系統も有効と考えられています。ニューキノロン系の中ではシタフロキサシンの抗菌活性が高く、シプロフロキサシンでは低いとされています。※4
第一選択とされているのは、テトラサイクリン系のドキシサイクリンです。※5
パートナーと一緒に治療する理由
泌尿器や性器の感染症では、パートナーも一緒に治療することが勧められています。※5
国内のガイドラインでも、治療の間はコンドームを使わない性行為を避け、パートナーの検査も行って同時に治療することが強く推奨されています。※4
厚生労働省も、妊娠を希望する女性に加えて、そのパートナーにおいても性感染症の予防に十分留意するよう促すことが重要だとしています。※1
※1 厚生労働省「性感染症に関する特定感染症予防指針(平成十二年厚生省告示第十五号・令和七年十一月十日改正)」(令和7年11月10日改正)
性感染症は、早期発見及び早期治療により治癒、重症化の防止又は感染の拡大防止が可能な疾患であり、性感染症の予防には、正しい知識とそれに基づく注意深い行動が重要である。
このため、不妊等の後遺障害や生殖器がんが発生し、又はヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus。以下「HIV」という。)に感染しやすくなる等性感染症の疾患ごとに発生する様々な重篤な合併症をもたらすことが問題点として指摘されている。
特に、生殖年齢にある女性が性感染症に感染した場合には、母子感染による次世代への影響があり得ることが問題点となっている。
また、女性の場合には、解剖学的に感染の危険性が高く、感染しても無症状の場合が多い一方で、感染すると慢性的な骨盤内炎症性疾患の原因となりやすく、次世代への影響があること等の特性がある。
普及啓発に当たっては、妊娠を希望する女性に加え、そのパートナーにおいても性感染症予防に十分留意することを促すことや、性感染症及びその妊娠や母子への影響を性と生殖に関する健康の問題として捉える配慮をすることが重要である。
コンドームは、性器や口腔粘膜を直接接触させないことで性感染症の感染を予防する効果があるが、コンドームだけでは防ぐことができない性感染症がある等の情報について、国及び都道府県等は民間企業及びNGO等とも連携しながら普及啓発に努めるべきである。
※2 厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」(2022年11月24日最終更新)
オーラルセックスにも性感染症にかかるリスクがあります。口(くちびる、口内の粘膜、のどを含みます)から性器へ、性器から口へ、の二通りの感染がありえます。
性器から口への感染の場合、口内(特にのど)に性感染症の病原体が感染しても症状が出ないことが普通です。その結果、のどに感染していることに気づかないままオーラルセックスして、口から性器へ、つまり相手の性器に病原体をうつすことがあります。
オーラルセックス時にもコンドームを使用すると感染のリスクを下げることができます。
のどの感染が心配な場合は耳鼻咽喉科あるいは性感染症を専門とする医療機関が対応しますが、事前に性感染症の診療が可能かどうか電話等で確かめてください。性器の感染が心配もしくは性器周辺の症状がある場合は泌尿器科や産婦人科、くちびるや皮膚の症状がある場合は皮膚科に相談してください。
※3 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト(IASR Vol.43 p119-120)「大阪地区における母体感染症抗体検査および妊娠期の感染症」(2022年5月号)
本研究では検討していないが、流早産を引き起こすマイコプラズマ科ウレアプラズマ属細菌については、大阪母子医療センターの流早産胎盤の4割から分離された。妊婦に投与できる抗菌薬が限られる中、ウレアプラズマ等による子宮内感染の制御は困難である。
※4 日本感染症学会・日本化学療法学会「JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2018 ―男性尿道炎とその関連疾患―(感染症学雑誌 第92巻 第3号)」(2018年5月20日)
非クラミジア性非淋菌性尿道炎は,男子尿道炎で淋菌およびクラミジアがともに検出されないものをいう(BⅠ).
特に M. genitalium,トリコモナス,Ureaplasma urealyticum,Haemophilus influenzae,herpes simplex virus,adenovirus などが候補となっている.
これらの微生物の中では,現在までにトリコモナスと M. genitalium の病原性が確立している(AⅠ).
症状を有する尿道炎症例から U. urealyticum が単独で検出されることがある.
M. genitalium のみが,病原体として確立している.
ただし,尿道から検出される微生物の男性尿道炎に対する病原性は低いものの,女性の細菌性腟症の原因となるものもあるため,時に治療が必要となる場合がある.
U. urealyticum は,テトラサイクリン,マクロライド,ニューキノロン系抗菌薬の順に感受性が高い.現時点では上記 3 系統はいずれも有効であると考えられるが,ニューキノロン系抗菌薬では STFX の抗菌活性が高く,CPFX では低い.
治療中,コンドームを使用しない性行為は禁じ,パートナーの検査も行い治療を同時に行う(AⅠ).
※5 StatPearls(米国国立医学図書館 NCBI Bookshelf)「Mycoplasma Infections」(2023年8月7日更新)
Ureaplasma species, another sub-class of Mollicutes, are known to cause urethral, gynecologic and obstetric infections.
Ureaplasma species, Mycoplasma genitalium, and M. hominis are genitourinary mucosal organisms and infection is spread through direct sexual contact.
Ureaplasma species, Mycoplasma genitalium, and Mycoplasma hominis may be isolated from up to 80% of sexually active females, but these organisms do not universally correlate with active infection.
Urogenital infections caused by Ureaplasma species, Mycoplasma genitalium, and M. hominis may present with nongonococcal urethritis, dysuria, urgency, and urethral discharge in men. Many infected women are asymptomatic but may experience pelvic pain if pelvic inflammatory disease develops.
Recent studies correlate Ureaplasma parvum infection with an increased risk for preterm birth, low weight infants, and bronchopulmonary disease in preterm neonates.
One may use culture, serology, or PCR to confirm and support the diagnosis.
PCR testing of nasopharyngeal aspirates, urethral and vaginal swabs have the advantage of specificity; however, its disadvantages are price and delayed turnaround time.
Doxycycline is the first choice to treat M. hominis and U. urealyticum species.
Treatment of sexual partners is recommended in cases of genitourinary tract infection.
※6 CDC(米国疾病予防管理センター)「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021: Urethritis and Cervicitis」(2022年9月21日レビュー)
No specific evidence exists for a role for Ureaplasma parvum or Ureaplasma urealyticum in cervicitis (707,761,765,775,776).
飯田橋・神楽坂での検査と治療
当院は「飯田橋駅」B3出口より徒歩3分、「牛込神楽坂駅」A3出口より徒歩5分、「神楽坂駅」1b出口より徒歩7分の場所にあります。ウレアプラズマ感染症を含む性感染症の検査と治療は性感染症外来で行っています。
ウレアプラズマ感染症の検査料金
性感染症検査(STD検査)の料金表のうち、ウレアプラズマ感染症に関わる検査の料金です。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| ウレアプラズマ・マイコプラズマ検査 | 7,700円 |
診察を担当する医師は婦人科の女性医師です。
